視覚の理論についての本たち
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文学部で開講されている映画理論の講義を取っている。実は去年も受講して、単位は取ったんだけど、毎年違う内容をシリーズ化している講義なので今年も受けることにした。去年の授業のなかでなぜか僕の心に強く残っているのは「クレショフ効果」だ。これはモンタージュされた映像によって引き起こされるらしい心理効果の名前である。
こんなふうに、映画を心理学的に分析するのも面白いかもなあとか素人考えでは思う。残念ながらぼくは映画をラカンの精神分析がごとく山ある映画をばっさばっさと解釈していくような超絶技巧を持っていないけども、シネフィルのそういう話を聞くのはすきなのだ。
身もふたもなく言えば、映画はけっきょく二次元のスクリーンの表面を見ているにすぎない。奥行は、いわば錯覚だ。けれど実際の視覚も、3次元の空間とそこにある物体の「表面」を見ているだけであるともいえる。こういうふうに3次元の視覚をごく2次元的に目の前にある巨大な平面としてとらえるという考え方を、ぼくはギブソンの生態光学について説明しているある本で知った*1。
最初、その本が言っていることがさっぱりわからなくて、ボクは頭を殴られたような衝撃を受けた。すくなくとも目の前の本は母国語で書かれているようなのに書かれていることが全く理解できないのだ。まるで知らない言語で書かれた書物みたいに。そんな経験は初めてだったので、その時のことはよく覚えている。しかし、大学に入ってからいろんな本を読んでいく中で、いまではそういう感覚が珍しいものでなくなってきたのは、感慨深い。
最近は別系統から、図像が人間に与える印象とか、わかりやすく情報をコミュニケートするための可視化なんかについての興味も増してきたので、視覚の理論についての本をいくつか読んでみたいと思って図書館で探してみた。以前から色彩心理学への興味はあったので、どこかで見たような聞いたような内容を目次で見たりもした。
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- 出会った日:2014.5.16
- 出会った場所: 大学の総合図書館
- 出会った経緯:映画理論の講義後、映画と心理学の関係についての本を読んでみようと思い立った
- 興味を持った理由:目次にクレショフ効果が載っていた。署名がまさにもとめているもののようであったので。しかしがっつり専門書のようである。
- 読みたいポイント:映像心理学とは何か。面白い心理現象はあるか。理論体系はどうなっているか。どんな手法で研究しているのか。生態光学的なアプローチの先行研究は存在するのか。
- 作者: ジェームズ J.ギブソン,東山篤規,竹澤智美,村上嵩至
- 出版社/メーカー: 新曜社
- 発売日: 2011/03/25
- メディア: 単行本
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- 出会った日:2014.5.16
- 出会った場所: 大学の総合図書館
- 出会った経緯:同上
- 興味を持った理由:ギブソン心理学は2回生のころからちらちらと興味はあったが、ギブソン本人の著作を読んだことがなかった。どうせなら一度くらい読んでみるかと思ったので。
- 読みたいポイント:視覚の知覚心理学についての一通りの知識。ギブソンの心理学の概要。アフォーダンスとの関係。映画と関係はあるか。
- 出会った日:2014.5.16
- 出会った場所: 大学の総合図書館
- 出会った経緯:同上
- 興味を持った理由:じつは地元の公立図書館で一度手に取ったことがある。が、その時はかりなかったので読まなかった。視覚についての科学をまとめてある本らしい。オーソドックスなものかはわからないが、まずとっかかりに読んでみることにした。
- 読みたいポイント:視覚の科学についての基礎知識。
- 作者: J.オーモン,M.マリー,A.ベルガラ,M.ヴェルネ,武田潔
- 出版社/メーカー: 勁草書房
- 発売日: 2000/05
- メディア: 単行本
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- 出会った日:覚えていない
- 出会った場所: 大学の総合図書館
- 出会った経緯:映画理論の講義で参考文献として挙げられていたもの。かなり王道の教科書らしい。
- 興味を持った理由:実は一度読んだことがある。わかりやすく、面白かった印象がある。が、たしか通読はしていないはずだ。せっかくだからもう一度読み返そうということで。
- 読みたいポイント:映画理論とは何か。