aida ha nani de dekiteiru ?

〈いかにしてワタシはこの本に出会ったか〉についての記録

天才年金

なんらかの創作物をつくりだした人は、だれだって創作者だ。とはいえ世の中には恐ろしいほどの才能を持った人がいる。否。その才能をうんぬんできるのは、ボクがその人の創作物を知ったからであって、その人が今現在才能を持っているかどうかは問題ではない。過去の創作物の天才性をもって、その人がこれから先も同じような創造物をつくりだすことができるという推論の蓋然性は低くないと推測するのはそう不合理なことではないにせよ、そもそも才能の時間軸を未来に向けて延ばすことにたいした必然性がない。ある種の創作者は、かつてある時点で特筆すべき創造性を発揮したことがあるという事実こそがこの文脈では肝要で、その事実を確認しおえたボクはかつてなされた想像性の結果を賞賛しなければならない。しかしながらいずれの過去にむけても金銭を差し出すことは不可能であると物理学者は言うので、ボクはその代わりに現在と、その蓄積である将来に向けることにせざるを得ない。以上が天才年金の基本的な考え方であり、それは創作者の死没が明らかになるときまで続くというのが通説である。現在のところ、この説を棄却するにたる有力な学説の存在は認められていない・