不確実性の管理手法とIPCC まとめ
深夜唐突にtwitterに連投した科学的知見の提供を目的とする国際機関の不確実性の管理手法とIPCCに関する観点のまとめ。
[読んだ]大久保彩子・石井敦,2004,"国際捕鯨委員会における不確実性の管理――実証主義から管理志向の科学へ".『科学技術社会論研究第3号』,玉川大学出版部,pp104-115
— chlochro (@hakkirikuro) 2013, 10月 26
(承前)IWC科学委員会の「不確実性の征服」から「不確実性を前提」とした管理手法への変遷は、post-normal scienceのアプローチ(NUSAP)とも共通しているようだ
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(承前)関連して、von der Sluijsは、不確実性は科学の現段階での不完全性によるもので科学の発展とともに「克服される」べきものであるとする従来の科学観に基づく不確実性の管理方式を不確実性の欠如モデル(the deficit view)であると批判している
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[Ref]A.petersen et al.(2011)"Post-Normal Science in Practice at the Netherlands Environmental Assessment Agency".S,T,&HV,36(3),pp362-388
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(承前)もうひとつの方式として、不確実性は複数性・多層性が欠如した状態であり、複数の対立する確実性の根拠を相対的に評価・比較することでコンセンサスを形成し対処しようとする不確実性の根拠評価モデル(the evidence evaluation view)が挙げられている
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(承前)この根拠評価モデルの例として多数のディシプリンの専門家で構成されるIPCCが挙げられているが、このコンセンサス方式はしばしば少数意見が過小評価される傾向があるという欠点が指摘されている
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。oO (コンセンサス方式にはそもそも「純科学」的知見がすきなひとからの批判もあるからなあ)
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(承前)IPCCには「境界組織(boundary organization)」であるという見方もある。こちらは科学と社会のフレーミングのずれといった構造的な不確実性を管理する組織としての見方。同時に社会(政治)による科学への過度の介入を防ぐ意味合いも持つ。
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(承前)理念上は両者の「防波堤」であるはずだが、実際には「科学」的知見が政治的判断(政策決定者)の追認に使われているにすぎないのではないかという批判もある。また組織自体の目的・志向性(気候変動によるリスクの評価)の設定自体がすでに政治主導であるとの批判も見られる。
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[Ref]宗像慎太郎,2007,"地球環境問題と科学的不確実性",『現代思想』,vol.35-12,pp178-186
江澤誠,2010,「地球温暖化問題原論-ネオリベラリズムと専門家集団の誤謬」,新評論
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。oO (なぜ気候科学がこのような史上空前の組織をつくる(あるいは組み込まれた)に至ったか、というのも実に興味深い)
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