田中玲(2006)「トランスジェンダー・フェミニズム」
最近になって、ジェンダー論に興味を持ち始めた。ここのところ社会科学の書架の周辺を行ったり来たりしていて、たまたまジェンダー関係の書架を見つけた。最初に手に手に取ったのが「トランスがわかりません!! ゆらぎのセクシュアリティ考」*1という本で、なかなかフランクに書かれた読みやすい本だったが、しかし内容は結構(ワタシには)衝撃的で、最初のジェンダー本がこれだったのは今思えば何の因果か(笑)、おかげで"トランスジェンダー"という概念に特に関心を抱くようになった。
ジェンダー論というと一般的にはフェミニズムから入るのが「正道」なのかもしれないが、前述のようにわりと個性的な入口から入ったので、ワタシ自身はまだフェミニズムそのものをしっかり勉強していない。それでも本書「トランスジェンダー・フェミニズム」という題名には多少の違和感を感じた。トランスジェンダーと「女性学」であるはずの「フェミニズム」がなぜくっついているのか。
そもそもトランスジェンダーとはその名の通り「性別を超える」性のありかたのことを指す。超えるというのもいろいろな意味があって、たとえば生物学的には男性だが女性としてありたいと思うあり方(MtFというらしい)、あるいはFtMというあり方、そして男性/女性という性の二元論自体を「超えた」性の在り方(Xジェンダー)、などなど。性の在り方には当然多様性がある。し、あってしかるべきだ(というのはワタシの意見だが)。
そういう理解をしていたのでこの本を見たときに、なぜフェミニズム?となんとなく感じた違和感に惹かれてこの本を読むことにしたのであった。
そもそも〈ジェンダー〉という概念がなぜ生まれ、どういう変遷を遂げてきたのかということに関しては「ジェンダーの系譜学」*2という書籍に詳しい。しっかりした専門書だが読みやすく面白かった。もうすこしジェンダー論関係の書籍を読んで知識を蓄えたら、その整理を兼ねて再読するつもりでいる。
*1:
*2:
- 作者: ジェニファージャーモン,Jenniffer Germon,左古輝人
- 出版社/メーカー: 法政大学出版局
- 発売日: 2012/11/20
- メディア: 単行本
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